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2011年8月 2日 (火)

ダメな議論/飯田泰之/☆☆☆☆

東京大学経済学部卒の経済学者による「ダメな議論」を見抜くための方法論を説いた本。

ニート問題から財政赤字、平成不況まで、いかにももっともらしい議論がメディアを飛び交っている。じつは国民的「常識」の中にも、根拠のない“ダメ議論” が紛れ込んでいる。そうした、人をその気にさせる怪しい議論を、どのようにして見抜くか。そのための五つのチェックポイントを紹介し、実例も交えながら、 ダメな議論の見抜き方を伝授する。論理思考を上手に用い、真に有用な情報を手にするための知的技法の書である。     (「BOOK」データベースより)

この本のコストパフォーマンスは非常に高い。なぜなら本書で挙げられている五つのチェックポイントを意識することで、すぐさまクリティカル・シンキングを身に着けられるからだ。
その五つのチェックポイントとは以下のようなものである。

①定義の誤解・失敗はないか
②無内容または反証不可能な言説
③難解な理論の不安定な結論
④単純なデータ観察で否定されないか
⑤比喩と例話に支えられた主張

TVのコメンテーターの主張などでこれらのチェックポイント全てを突破しているものなどはほとんどない。短い時間で幅広い視聴者に向けた気の利いたコメントをしなければならないという制約があるからだ。だから彼らが「言葉の定義」や「データによる緻密な分析」をするだけの暇がないまま、万人に向けた「無内容で反証不可能な話」をするのもやむを得ないところがあるだろう。

こうした状況の中で必要とされる能力がクリティカル・シンキングである。メディア・リテラシーと言い換えてもいい。情報の受け手が「ダメな議論」を見抜けるようになる能力がこの情報過多の時代では重要なのだ。そして、ただ「あいつは好かん」「マスゴミの言うことは信用ならん」といって切り捨てるのではなく、どの点がおかしいのかということも指摘できればそこから建設的な議論を進めることができる。「~~の点がおかしいのでそこを明らかにして話を進めましょう」など。

派手な表紙と謳い文句を掲げた「ロジカル・シンキング入門」の類をレジに持っていく前に、まず本書を手に取ることを強くおすすめする。これ一冊で「ダメな議論」を見抜けるようになるとともに、自分が「ダメな議論」をすることも避けられるようになるだろう。

ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書) Book ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)

著者:飯田 泰之
販売元:筑摩書房
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