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2011年11月10日 (木)

「認められたい」の正体~空虚な承認ゲームから脱するには~

「認められたい」の正体―承認不安の時代 /講談社現代新書/山竹伸二

「認められたい」の正体 ― 承認不安の時代 (講談社現代新書)

      
「認められたい」の正体 ― 承認不安の時代 (講談社現代新書)

著者:山竹 伸二

「認められたい」の正体 ― 承認不安の時代 (講談社現代新書)

 「誰かに認められたい」――そんな承認欲求は誰もが持つものだ。アメリカ人の心理学者、アブラハム・マズローが理論化した「マズローの欲求段階説」では人間の欲求を五段階に分類しているが、その「承認の欲求」は四段階目に位置している(ちなみに、「生理的欲求」「安全の欲求」「所属と愛の欲求」「承認の欲求」「自己実現の欲求」の五段階)。そして、マズローは五段階目の「自己実現の欲求」を「成長欲求」としているのに対し、四段階目までの欲求を「欠乏欲求」としている。「欠乏欲求」が満たされないとき、人は不安や緊張を感じる。承認欲求は人が持つ基本的な欲求なのだ。

 しかし、現代ではこの承認欲求が得られにくい。高度経済成長期にあった、いい学校を出て、企業に就職をして、家庭を持って物質的に豊かな生活をしていれば幸せだ、といった「大きな物語」が終焉したからだ。価値観が多様化した現代では、このように生きれば良いといった指針は存在しない。自らの価値観が揺るぎやすい時代なのだ。

 そうした時、人は空虚な承認ゲームに陥りがちになる。周りの目を気にし、同調することで承認を得ようとするのだ。しかし、自分の本心を無視して得る承認は虚しい。さらに、身近な集団からの承認のみを判断の基準とすると、その他大勢の価値観を無視して暴走してしまうという危険もある。

 では、空虚な承認ゲームから脱するにはどうすればよいのか。それには自己ルールの刷新が必要となる。自己ルールとは自分を規定する内面の規律のことである。「~すべし」という当為の源泉である自己ルールを作り変えることで、自らの行動に承認を得られやすくするのだ。そしてそのためには、信頼できる他者の承認を介した自己了解による自己ルールの作り変え、つまり親和的承認を根拠とした自己の刷新を行い、その上で一般的他者の視点を入れることが重要となる。

自己ルールのゆがみを自覚し、そのうえで自分の本当の望み、何をすべきかについて、心から納得できる自己像と自己ルールを作り上げること。これが、自分の納得する形で他者からの承認を得て、空虚な承認ゲームから脱出するための鍵となるのだ。

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